CRIMSON ONE / クリムゾンワン
Meguro,TOKYO
2017

DATA
Site area / 130.53㎡
Building area / 93.69㎡
Total floor / 447.30㎡
Structure / S structure
Main use / restaurant,cafe
Photo / 小川重雄

幹線道路沿いに建つ小さなテナントビルである。厳しい敷地環境において何よりも気になったのは通り全体の暗さだ。人が脇に追いやられて居場所を喪失してしまったような風景である。現在の道路事情は過酷でも、将来的には人口減に伴って交通量そのものが縮減するかもしれないし、EVが無音で颯爽と通り過ぎる新しい風景に変わるかもしれない。現在の都市環境に建築を合せるのではなく、長いスパンを見据えて都市の変化に対応できるようにしたいと考えた。 しかし、この建物はスケルトン仕様のテナントビルなので設計で対応できることはそう多くない。その枠組みの中で、中小規模建築が本来的に備えるべき要素を見つめ直した結果、たどり着いたのが開閉可能な横連窓だった。例えば、名もない古いビルでも魅力を感じるのはノスタルジックな風情よりも、「窓が開く」というシンプルで誰もが共有できる能動的な選択性ではないだろうか。窓の開閉により、視覚情報のみならず音や匂いも丸ごとひっくるめて、都市との関わりについてユーザー自身が選択性を有することは、中小規模建築に限らず必要不可欠な要素ではないかと考えた。 一方で、外部への諦め感が漂う現状の街並みに対しては、窓の構成論理だけでは不十分だ。周囲を巻き込むためにも共有可能なキャラクターは何かと思いを巡らせる内に、ふとロンドンを走る2階建てバス、ダブルデッカーが思い浮かんだ。広告を纏い、多種多様な乗客と一緒に街を颯爽と駆け抜けるタフで力強い姿が本計画の原イメージに相応しいと思ったのだ。改めて考えると、わたしたちは車に乗ると、窓を全開にしたり閉じたり再び少し開けたりなど、窓の開閉を微細にコントロールしながら、季節や気分に応じた空間環境の形成を本能的に行っている。車のように外部への親和性を備えた建築が閉じた街並みに対して有効ではないかと考えた。

This retail building for lease, which leaves the fit-out to tenants’ design, sits along an arterial road, where inorganic transportation structures overshadow the street’s ambience. This building seeks to adapt to the town’s change over time, including when electronic vehicles take over the road and when traffic decreases along with the depopulation expected in Japan.
The key design element is multiple windows that can be opened. This gives occupants a simple, yet essential, choice that makes buildings, including some old nondescript ones, appealing: the choice to enjoy views, sounds, and smells, which defines interaction with the town. To further enhance its appeal, the exterior is colored red, inspired by the toughness of London’s double-decker buses – wrapped in advertisements, ferrying diverse passengers throughout the city – that befitted the original design concept.
With its adaptability, Crimson One adds a breath of fresh air to the street.